「涙であなたを潤す」 N023
Ⅰ.子羊を送れ(1-5)
前回に続き、モアブに対する宣告が語られている。主はモアブに、「子羊を、この国の支配者に送れ」(1)と言われた。この国の支配者とは南ユダ王国のことである。モアブは今アッシリヤからの攻撃を受け、国外に逃れようとしていた。そんなモアブに対して、主は、エルサレムに助けを求めるようにと言われたのだ。なぜ?彼らがアッシリヤの攻撃から逃れることのできる唯一の道は、イスラエルの神に助けを求める以外にはないからである。それはイスラエルにも同じことが言える。主はイスラエルに、「あなたの中に、モアブの散らされた者を宿らせ、荒らす者からのがれて来る者の隠れ家となれ」(3)と語られた。これはイザヤの時代のことだけでなく、世の終わりの患艱時代のことである。患難時代には逆にイスラエルが反キリストの迫害を逃れてさまようことになる。そんな彼らのためにモアブは隠れ家とならなければならないというのだ。
私たちの周りには、思いがけない事故や患艱によって散らされている人たちがいる。私たちは、そういう人たちの隠れ家にならなければならない。「いと高き方の隠れ場に住む者は、全能者の陰に宿る。」(詩篇91:1)主こそまことの隠れ家である。私たちはこの真の隠れ家なる主を、一人でも多くの人に提供していかなければならない。
Ⅱ.涙であなたを潤す(6-16)
モアブは、主が設けてくださった逃れの道を拒んだ。彼らは、ふどうをはじめとする豊かな農作物を自慢し、高ぶった。それゆえ、モアブは、モアブ自身のために泣きわめく。彼らは打ちのめされて、ぶどうの実はしおれてしまう。そして、荒野をさまよい、涙を流して泣くようになる。
しかし、ここに不思議なことばが記されてある。「わたしはわたしの涙であなたを潤す」(9)主がモアブのために泣いておられるのだ。自分たちの経済を誇り、高ぶり、神に背いた彼らは滅ぼされて当然なのに、そんなモアブのために泣いておられるのである。なぜ主は彼らのために泣いておられるのか?それは、神はひとりも滅びることを願わず、すべての人が救われることを望んでおられるからである。主がモアブをさばかれるのはそうしたいからではない。いくら言っても悔い改めないので、そうせざるを得ないのである。ここに「わたしのはらわたはモアブのために、わたしの内臓はキル・ヘレスのために立琴のようにわななく」(11)とあるが、まさに「断腸の思い」なのだ。
Ⅲ.神に聞き従う(13-14)
ではどうしたらよいのか?神の声に聞き従うことである。ここに、「これが、以前から主がモアブに対して語っておられたみことばである。」(13)とある。これは突然の宣告なのではない。以前から、ずっと以前から警告されていたことなのだ。なのに、彼らはこれを聞こうとしなかった。聞く耳を立てなかったのである。
主は今もはっきりと語っている。問題は、あなたがそれを聞くかどうかである。世の終わりが来ることをあなたは聞いている。あなたはその準備をしているか。主が語られたことは全部が成就する。そのみことばを聞いて受け入れるかどうかにかかっているのである。モアブは受け入れなかったために滅びてしまった。あなたはそのようなことがないように、今、この時に、神のみことばを聞いてそれを素直に受け入れ、主に従って生きる人生を選択していただきたい。
まとめ(自分に適用してみましょう!)
・あなたは、いと高き方の隠れ場に住んでいますか?あなたの隠れ場はどこですか?
・あなたが自慢しているものは何ですか?主はあなたのために涙を流しておられますか?それとも、あなたを喜んでおられますか?なぜそのように思いますか?
・あなたは以前からずっと神があなたに語っておられることに気付いていましたか?あなたはその声に従っていますか?